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パワーサプライとは?役割や仕組みを詳しく解説

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電源について

発電所から送られてくる電力(商用電源)は、そのままの電圧では利用できません。商用電源の電圧を変換し、電子機器や集積回路(IC)で利用できるようにする装置がパワーサプライ(直流安定化電源)です。

本記事ではパワーサプライの概要や役割、スイッチング方式・リニア方式の違いなどについて解説します。

産業分野で欠かせないパワーサプライとは?

発電所から一般家庭や工場へ送られてくる電力のことを商用電源と呼びます。パワーサプライは日本語で直流安定化電源と呼ばれ、商用電源の電圧を様々な機器で使用できる安定した電圧に変換する装置です。

商用電源には交流電圧が使われており、そのままの電圧では電子機器が正常に動作しません。また工場などに供給される電力は高電圧なため、そのまま利用すると機械設備を破損させてしまう恐れがあります。

そこで使われるのがパワーサプライです。パワーサプライは商用電源の交流電圧を直流電圧に変換できます。直流電圧は電流の向きが常に一定であり、電子機器の制御等に利用できます。パワーサプライは電子機器を扱っている工場はもちろん、鉄道や交通システムなど幅広い産業分野で利用されています。

パワーサプライの2つの役割

パワーサプライには、大きく分けて2つの役割があります。

  • 商用電源の交流電圧を直流電圧に変換する
  • 直流電圧を所定の用途に必要な直流電圧に変換する

前述したようにパワーサプライの主な用途は、電子機器を正常に動作させるため、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換(AC-DC変換)することです。このタイプのパワーサプライは、AC-DCコンバータと呼ばれています。

しかし機械設備には、商用電源ではなくバッテリーなどの直流電源で動作するものもあります。例えば、フォークリフトや無人搬送車(AGV)などがその一例です。パワーサプライの中でも、DC-DCコンバータと呼ばれるタイプの製品は、バッテリーの直流電圧を昇圧または降圧し、所定の用途に必要な電圧へ変換する役割があります。また電圧が安定しないケースにおいても、DC-DC変換を行うことで安定化を図ることが可能です。

パワーサプライは2種類ある

パワーサプライにはスイッチング方式とリニア方式の2つの方式があります。それぞれの方式の仕組みや構造の違いを解説します。

スイッチング方式

スイッチング方式は、現在主流になっているパワーサプライの方式です。

スイッチング方式では、半導体(トランジスタ)のスイッチング機能を利用して、交流電圧を直流電圧に変換しています。スイッチング方式の仕組みは以下の通りです。

  1. 1つ目のダイオードによって、商用電源を交流から直流に変換する(整流回路)
  2. 1つめのコンデンサで直流電圧を安定させる(平滑回路、安定化回路)
  3. スイッチング回路で、直流を周波数の高い交流に変換する
  4. トランス(高周波トランス)で電圧を変換する
  5. 2つ目のダイオードにより、直流に変換する(整流回路)
  6. 2つ目のコンデンサで出力電圧を安定させる(平滑回路、安定化回路)
  7. 出力電圧が目標値と乖離している場合、スイッチング回路を制御する(制御回路)

スイッチング方式のパワーサプライは、小型化や軽量化できるメリットがあります。また発熱が少なく高効率で、さまざまな入力電圧に対応できる点もスイッチング方式の強みです。

一方でスイッチング方式には、電圧変換の過程でノイズが発生しやすいというデメリットもあります。そのためオーディオ機器や医療用機器など、ノイズが発生しないことが望ましい電子機器の場合、後述するリニア方式のパワーサプライの利用が適していることもあります。

リニア方式

リニア方式は、半導体技術が発展する前まで広く使用されていたシンプルなパワーサプライの方式です。リニア方式では、トランス(変圧器)を用いて電圧を変換した後に、ダイオードで交流を直流に変換し、コンデンサで出力を安定させ、レギュレータを使って降圧し、より安定した出力電圧に変換します。

レギュレータにはツェナーダイオードや三端子IC等があり、小型で電子機器に広く使われていますが、大電流を流すことが出来ず、低効率なため放熱用のヒートシンク(放熱板)が必要になります。

使用するトランスは大きくて重く、レギュレータは降圧した分のロスを熱として消費し変換効率が低いため、現在は小型で変換効率が高いスイッチング方式が主流になっています。それでもリニア方式はスイッチング方式に比べて、製造が安価でノイズが少ないという利点があり、先述のとおり特定の用途において今でも利用されています。

パワーサプライの種類や役割を知ろう

パワーサプライは、商用電源の電圧を変換する装置です。発電所から送られてくる商用電源はそのままの電圧では利用できないため、ほとんどの電子機器にパワーサプライが搭載されています。

パワーサプライには、主に交流から直流に変換するAC-DCコンバータと、バッテリーなどの直流電源に使われるDC-DCコンバータなどがあります。またパワーサプライの仕組みはスイッチング方式とリニア方式の2つに分かれており、現在はスイッチング方式のパワーサプライが一般的です。

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