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リップルノイズとは?構成する成分やノイズが電気機器にもたらす影響などについて解説

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スイッチング電源は現在、多くの電子機器に用いられており、同じく直流電圧を供給する電源装置であるリニア電源と比較すると高効率で電力を供給可能です。スイッチング電源を使用する際は、ノイズについて把握しておくことが大切です。

本記事ではスイッチング電源で発生するリップルノイズの概要や、周囲にもたらす影響などについて詳しく解説します。

そもそもノイズとは?

電気におけるノイズとは、目的を達成するために発生させた電気以外の電気信号のことです。ノイズが発生する原因は、電流や電圧の急激な変化が挙げられます。

ノイズは伝導ノイズと放射ノイズの2種類に分けられ、伝導ノイズはケーブルや基板などを介して伝わるノイズであり、放射ノイズは空中に放出されて伝わるノイズのことです。

また落雷や静電気などによる自然ノイズと回路の電磁エネルギーなどが引き起こす人工ノイズなど、ノイズの発生源によっても分別されます。中には、携帯電話や無線LAN、Bluetoothといったように意図的に電磁波を発生させる機器も存在します。

リップルノイズとは?

スイッチング電源では、スイッチを開閉(オンオフ)することでノイズが発生します。その中の一つがリップルノイズです。リップルノイズはわずかな振動やノイズが電源の直流出力に表れている状態で、次のように成り立っています。

  • リップルノイズ=リップル+スイッチングノイズ

ここからはリップルノイズの構成要素であるリップル、スイッチングノイズなどの詳細について、詳しく解説します。

リップル

リップルは、直流に含まれている脈流の成分のことです。脈流とは方向は一定であっても、大きさが定期的に変化する性質を持った流れを指します。リップルと似た存在としてノイズが挙げられますが、両者は次のとおり異なります。

  • リップル:スイッチング周波数と同じ周波数の変動。スイッチングリップルとも呼ばれる。交流入力の場合、その入力と同じ50Hzや60Hzの変動も含まれ、スイッチングリップルと区別するとき、その成分をACリップルと呼ぶ。
  • ノイズ:スイッチング周波数より高周波な変動。

スイッチングリップル

スイッチングリップルとは、スイッチング周波数に同期して発生するリップルです。スイッチング電源の動作原理上、必ず発生する脈流の内、出力の平滑回路で取り除ききれず、一部残ってしまったものがスイッチングリップルです。

ACリップル

電力会社から提供されている、50Hzもしくは60Hzの商用周波数によって発生するのがACリップルです。スイッチングリップルと同じく、リップルを構成する要素です。コンデンサによって取り除けなかった分や、出力電圧制御が追い付かなかった分がACリップルとして出力に表れます。ACを全波整流している場合は2倍の周波数になって表れます。

スイッチングノイズ

スイッチングノイズは、スイッチング電源でスイッチをオンオフする際に発生する、高周波のノイズのことです。スイッチングによってオンとオフを切り替える際に電流や電圧の急激な変化が生じることで高周波のノイズが発生します。前述したスイッチングリップルと名称は似ているものの、性質は全く異なります。

引用元:「JEITA規格:スイッチング電源試験方法(AC-DC) P.21」

スイッチング電源によるノイズとリップルの違い

スイッチング電源では、スイッチングノイズもスイッチングリップルも発生します。どちらもスイッチング電源の試験で測定対象となりますが、それぞれは異なる存在です。スイッチングノイズはスイッチのオンオフの切り替わりで発生するノイズのことです。一方でスイッチングリップルは出力に用いる平滑回路で完全には除去できなかった電圧のことを指すため、全く性質が異なります。

スイッチングリップルは平滑回路の劣化を知る指標にもなる

スイッチングリップルは、平滑回路の劣化を把握する指標にもなります。平滑回路が正常に機能していないと、スイッチングリップルが大きくなります。そのため、スイッチングリップルが大きい場合は、部品の交換を検討してみてください。

リップルノイズが大きくなる原因

リップルとスイッチングノイズの合計である、リップルノイズが大きくなる原因として考えられるのは次のような3つです。

  • 入出力の配線のミス
  • 入力電圧が低いまたは高い
  • 負荷電流が大きい

例えば、配線が長い、または配線の入出力が分離できていないといった場合は、リップルノイズが大きくなりやすいでしょう。

ノイズがもたらす影響

ノイズが発生すると、電子機器にさまざまな影響をもたらしかねません。例えばノイズによって、回路の安定性が低下する可能性があります。

ノイズを放置していると、電子機器の誤作動や故障といったトラブルや障害に発展しかねないため、対策を講じることが大切です。

ノイズを減少させる方法

ノイズを減少させる方法の具体例は、以下のとおりです。

  • フィルタでノイズを減少させる
  • コンデンサを配置する
  • 基板レイアウトを変更する
  • シールドを使用する
  • スナバ回路を導入する

それぞれについて詳しく解説します。

フィルタでノイズを減少させる

ノイズの除去に効果が期待できるのが、ノイズフィルタの使用です。ノイズフィルタはラインフィルタやEMIフィルタとも呼ばれています。ノイズフィルタには一般的にコンデンサやコイルが用いられていて、スイッチングによって発生するノイズを除去できます。

コンデンサを配置する

コンデンサは直流を遮って、交流を通すという特性があります。直流電圧で機能する電子機器にとって、交流は動作を不安定にするノイズです。コンデンサによって交流成分を回路動作の基準となる電位まで逃がして、電子機器に必要な直流電流だけを通します。不要な電流がなくなるため、電子機器の動作が安定します。

基板レイアウトを変更する

基板レイアウトを変更することでも、ノイズの軽減が可能です。配線が長いとノイズが発生する原因となるため、短くすることでノイズの除去につなげられます。

シールドを使用する

シールドとは、ノイズを除去するためのアイテムです。例えば、金属ケースや電波吸収材などがシールドに当たります。電波吸収材であればノイズを吸収して除去ができます。

またシールドはスイッチング電源だけに用いられるわけではありません。周辺機器に用いることで機器をノイズから保護可能です。

スナバ回路を導入する

スナバ回路とは、ノイズ対策を目的とした回路のことです。スイッチング時のノイズの発生を抑えられ、スイッチであるトランジスタや制御用のデバイスが壊れるのを防ぐ役割もあります。

またその一方で、電力変換効率が低下してしまう恐れもあることを認識しておきましょう。そのためスナバ回路の導入前には、除去したいノイズのレベルと、回路によって低下する電力変換効率のバランスを考慮することが大切です。

リップルノイズの特徴を知って対策を講じよう

本来必要のない微小な振動やノイズの成分で、電源の直流出力に表れるのがリップルノイズです。またノイズは放置すると、電子機器の誤作動や故障などを引き起こしかねません。そのため、ノイズフィルタの使用やコンデンサの配置、基板レイアウトの変更などを行い、ノイズを制御することが大切です。

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